プロローグ

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 最初に意識が定まった場所は、砂の海の真ん中でした。  意識が定まった当初とはいえ身体機能に不備はなく、思考機能に滞りはなく、活動に支障もありません。  ですが。ただ1つの問題はありました。  存在意義とでも定義しましょうか。私には、私個人としての欠落。平たく言えば、私が一体誰であるのか、何であるのかが分かりません。  心の中が空っぽです。  これを正確に言い表すのなら。活動できる性能はあるが、スペックを扱う目的がない。何かをこなす事が出きるのに、こなす何かが存在しない。  心の無い体では何も出来ません。ですので、私は心――――意味を見つける為に、空虚の心を埋める為に行動を開始しました。  最初にいた場所の砂漠。  砂状で広大な場所は、果てが無いただの空間です。気温概念は無く、心地よいかのかさえ分からない場所を、足跡を残しながら歩きました。  いくらか散策し続けると、砂しかないと思っていた場所で見つけます。  形状は正四角の箱。大きさは手のひらサイズで、蒼明な輝きを放っています。  風が吹いていないとはいえ、砂漠で砂に埋もれることは無く、砂状に色あせない存在があった箱を、私は当然のように拾い上げます。
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