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【御意。有り難く頂戴いたしまする】
そう言うと血姫は除々に白い煙のような姿となり緋色が持つ小瓶の中へと消えていく。
撲はあっという間の出来事に呆然としていた。
一体なんだ……何が起こった?撲の目の前で??
疑問ばかりが頭に浮かぶ。そんな撲を気にすることなく緋色は肉塊となった化け物へと近づく。
ドクンドクンッ――
と脈打つ黒い物体がそこにはあった。
あれは……化け物の心の臓
緋色は自分の親指を噛みちぎり、滴り落ちる血液をその心臓へと落とした。
その瞬間――心臓から黒い煙が吹き出し辺りに拡がる。そしてその煙は固まり、いつのまにか一匹の狸へと変わっていた。
【ゆ、許して下せぇ!!旦那ぁ!!どうか命だけはっっ……!!】
その狸は全身傷だらけで尾が八つに分かれていた。そして先刻見た血姫同様、人の言葉を解し話しているのだ。
「今度は狸が、しゃべってる…」
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