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犬に引き続き、またしても撲は驚いてしまう。緋色はその古狸の八つに分かれた尾を鷲掴みにし自分の目の高さへと持ち上げた。
【ひいっっ!!!!ご勘弁下せぇ……わしゃただの老いぼれ狸ですけぇ。何とぞ何とぞぉっ!!】
震えながら涙を流し許しを請うその古狸を緋色は鋭い眼光で睨みつける。
「古狸よ。命だけは助けてやろう。ただし……奴の居場所を吐けば―の話だ」
古狸はくりっとした可愛い瞳を丸くさせ困ったように作り笑いを浮かべた。
【え~っと……や、奴とは一体どちらさんの事でしょうか旦那??】
「とぼけるな!!俺の記憶を奪った…お前の元主“紅龍のアリオン”の事だ。知らぬはずはないだろう?」
ギュゥッ
と古狸の尾の一つを握り潰しながら緋色は怒りをあらわにする。
「さぁ、吐け――さもないとお前を殺す」
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