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古狸は青ざめた顔で目を白黒させながら必死で言葉を探す。
【だ、旦那はアリオン様をお探しで?で、でも、わしゃ確かに仕えてましたが随分昔の話で今はもう、どこにいらっしゃるかまでは………】
脂汗をかきながら古狸はビクビクと震えた。その古狸の言葉を聞き、緋色は残念そうにため息をつく。
「そうか、知らないのか。それは残念だ――」
【えぇ、本当に残念で。だ、旦那のお役に立てねぇで申し訳ないですが……知らないんじゃ、しょうがありやせんよね?】
ハハハと乾いた声で笑う狸に緋色は静かに冷たい笑みを浮かべる。
「フッ……本当に残念だが、お前を殺すしかないようだ」
次の瞬間、懐に隠していた鋭利なナイフをすばやく古狸の喉元へと突き付けた。
【ひ、ひえぇぇぇ!!!!】
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