第一章【紅炎との出会い】

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「そうか……俺が必ずお前の力を目覚めさせてやろう――俺の名は鬼灯緋色(キトウヒイロ)だ。これからは師と仰ぐように――分かったか坊主?」  偉そうな口調でそう告げる緋色を僕は拳を握りしめながら怒りをあらわに睨み付ける。 「あのなぁ!!!!さっきから気になってたけど……僕の名前は“焼神 茜”(ヤキガミアカネ)れっきとした《女》だ!!!坊主じゃねぇ!!」 「………ふっ」  僕は大声で叫び肩で息をする。途端に緋色は、 「ふはははははっ!!お前……女だったのか!!?ははははっ!!」  あまり笑ったりするようなかんじの奴じゃないのに緋色は腹を抱えながら大声で笑う。僕は恥ずかしさでカーッと耳まで赤くしながら怒った。 「そ、そんなに笑うことねぇだろ!!!僕だって少しは外見気にしてんだぞ!!」 「ははは。お前なかなか愉快な奴だ……来い茜」  まだ笑いながら緋色は僕に手を差し伸べてくる。その綺麗で暖かい手を握り返しながら……この時の僕は何も気付いてなかったんだ――。  これから先、僕と緋色に地獄が待っているなんて……僕と緋色が出会うこと――それは神が定めた残酷な運命のほんの序章でしかないって事を…… 第一章(紅炎との出会い)完――
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