第二章【三巴炎と水獣の村】

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 僕にとって憧れのお姉さんというかんじの人だ。 ただ気になる事が二つある。  やっぱりルビィさん今日も食べてない  そうルビィはこの一週間食物はおろか飲物すら口に入れていないのだ。  ――いや正しくは違う。  僕が見る限りそういう素振りを見せない。もしかしたら僕の眼の届かない所で食事を取っているのかもしれない……。  森の奥に麻で作られた簡易テントが二つと折畳み式のウッドテーブルが置かれている。そのテーブルの上にはルビィ特製の【トマトピューレスープ】に【アプリ地方風・鳥の香草グリル焼~レッドパプリカ添え】が並べられ食欲を増す芳ばしい香りが鼻孔をくすぐった。  その料理を僕と緋色が食べている隣でルビィだけは料理に手をつけようともしない。 「ルビィさん…腹減ってねぇの?」  僕は料理を食べる手を休め思いきって尋ねてみた。 「……すみません、私は食物を受け付けない身体なんです」
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