第二章【三巴炎と水獣の村】

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【霊造師についての知識】 【霊造師としての戦闘訓練】  今日、この森で行ったのは戦闘訓練だ。  僕もはやく造力使えるように頑張らないと――。  僕が本当に“造”を使える時が来るのだろうか? 《不安と恐怖》  二つの感情が僕に重くのしかかる。深いため息をついた…その時、森の木々がざわめく。  ガサガサッ!  後方で草木をかきわける音がし、僕は思わず身構えて振り向いた。 《おい!そこの下等生物》  息を飲み、言葉を失う。  美しい………。  黄金に輝くウェーブのかかった髪は足の膝まで流れ、こちらを見つめる薄い蒼眼を長いまつ毛がふわりと包み込む。陶器のように艶やかな白い肌。纏う衣服は白を基調としたローブに幾重にも重なる紅い絹衣。様々な貴金属を身につけ、極め付けは髪から生えた二本のふわふわの獣の耳。そして衣のすそから覗くすらりと長い尻尾。 「聞こえぬのか?ミジンコに高貴な我らの言葉は解せぬか?」  りんと響く鈴が転がるような美しい声、まさに天使だ。とてもこの世のモノとは思えない……。
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