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紅の髪、美しい男。たぶん……いや確実に一人心当たりがある。僕のお師さんである緋色の事だろう。
「僕はその男を知っている。だけどなんで探しているんだ?ちゃんとした理由があるなら教えてやってもいい。だけどその前に僕を馬鹿にした事謝れ」
「クッ、なぜだ?下等生物に何も謝る義理はないぞ?理由?そんな事下等生物に話しても理解できないだろう。知っているなら早く話せ。だいたいお前こそ俺に話し掛けてもらえた事は光栄なことだと……感謝の言葉でも述べたらどうだ?」
「ふざけるな!!!」
少しも反省の色のない、その天使のような悪魔の胸ぐらに僕は掴み掛かろうと腕をあげた。
「……おい、そこで何をしている」
夕闇の向こうから聞き慣れた重低音のくぐもった声がし、木々の間から現われたのは紅の光。そう僕のお師さん“緋色”その人である。
「お師――」
僕が腕を離し後方の木々の間から現われた緋色に声を掛けようとしたその時、
「お師匠さまあぁぁぁぁぁあぁああ!!!」
ガバッ!!
その天使のような悪魔が緋色の姿を視界に捉えた途端に叫ぶ。
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