第二章【三巴炎と水獣の村】

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「お師匠様の仰る通りです!!占造師である母上様が占ってくれました。俺の村の近くの、この森にお師匠様が今日来ると。それを聞いていてもたってもいられず来てしまいました。あの、ところでお師匠様?」 「ん……なんだ?」  イチはまるで、汚らわしいものでも見るような目付きで眉をひそめ僕を睨み、人指し指で指し示す。 「あの、下等生物は何ですか?」  こいつ……  黙って二人を見ていた僕は、イチのその一言に怒り、立ち上がると負けずに相手を睨み返す。 「僕は、下等生物なんかじゃない!!“焼神茜”って名前がちゃんとある。そういうお前こそお師さんの何だ?!」  僕のその言葉にイチは勝ち誇ったような笑みを浮かべる。 「僕は緋色お師匠様の一番弟子…そして【女神の子の右翼】である水獣族(スイジュウゾク)だ。お前達、下等な人間とは違う」  お師さんの弟子……水獣族だって??  僕は驚いて言葉を失う。それもそのはず、水獣族といえば世界の創造主たる神【ゼウス】の妹であり、“造力”をこの世にもたらした女神【アフロディーテ】の子孫。高貴なる女神の血をひく禁忌の子の片割れであり、世界で最も高潔な種族だからだ。
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