第二章【三巴炎と水獣の村】

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 人間嫌いな水獣族は人前にはめったに姿を見せず、世界各地の森の奥で集落を作り暮らしていると聞いた事がある。そして女神の子孫であるにふさわしく【天使】のごとく絶世の美貌を備えているらしい。  噂では聞いた事あるけど見るのは初めてだ――これが水獣族。  僕は改めて眼前で緋色に抱きつく水獣族のイチに目を向ける。天使のような美貌、高貴なる雰囲気を漂わせ、優雅なる立ち振る舞いはまさに女神の子の名にふさわしい。だけど、 「それで、お前はお師匠様の召使いか何かか?お師匠様に仕えられるなんて下等な種族にしてはこれほど幸福な事はないな」  どうして初対面の相手にここまで失礼な事が言えるんだ?これが女神の子?信じられない―― 「違う!!僕は緋色お師さんの弟子だ!!」 「……何?お前がお師匠様の弟子?ハハッ見え透いた嘘をつくな」  馬鹿にしたように鼻で笑い蔑むような瞳を僕に向ける。 「イチ……本当だ。茜は俺の大事な弟子だ。それに【真霊造師】としての才を持っている。無礼な口を聞くんじゃない」  緋色は低い声で戒めた。その言葉にイチは愕然とし言葉を失う。
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