第二章【三巴炎と水獣の村】

16/17
前へ
/230ページ
次へ
「え?お師匠様正気ですか!?どうして……しかも、こいつがフォースコンプラートだなんて」  イチは信じられない、という風に瞳を丸くし僕を見つめた。 「そうだ。俺の言う事が信じられないのか?……茜、紹介しよう。イチはこの近くの水獣族の村【朱庵(シュアン)】の族長の子――名を【未琉木 一期(ミルキイチゴ)】という。お前の兄弟子だ」 「――みるきいちご?………ミルキーイチゴ??……ぷっ。あははははははは!!可愛い名前!!!!」  紹介されたイチ改め一期の名前を聞き僕は思わず吹き出して笑ってしまった。一期は首まで真っ赤にしながら怒って僕に詰め寄る。 「笑うな!!俺の名は族長である父上様が、総てのものとの出会い…“一期一会”を大切にするような心優しい長になるようにと名付けてくださった名だ!!下等な生き物が高貴な俺を馬鹿にするな!!無礼者!!!!」  僕は頭の血管が切れそうなぐらい頭にきた。堪忍袋の尾が切れる、という言葉はこういう時に使うのだろう。 「無礼なのはどっちだ!!水獣族はどれだけ偉いのか知らないけどな、人間だって皆頑張って生きてるんだ!!下等??僕達が下等かどうかも知らないくせに馬鹿にするんじゃねぇ!!!!それに…馬鹿って言うほうが馬鹿だ!!!!」
/230ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1388人が本棚に入れています
本棚に追加