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一気に早口でそこまでまくしたてると僕は肩で息をしながら、眼前の一期を睨み付ける。一期は、
「ふっ……」
唖然とした表情で僕を凝視し俯いたと思った途端。
「ハハ……ハハハハハ!!!!」
金色のなめらかな髪を振り乱し、顔をあげ腹を抱えながら、大声で笑った。
「俺にそんな口のきき方をするやつは初めてだ。お前なかなか面白いやつだな……下等な生き物と言った事は俺が悪かった。謝ろう」
「へ?」
僕は拍子抜けして変な声をあげてしまった。そんな僕を見て、また笑いながら一期は緋色へと振り向く。
「それで、お師匠様。どうしてこんな所まで来たのですか?もしかして記憶の手がかりが?」
一期は緋色には優雅な微笑を向け、問い掛けた。
「ああ、そうだ。アリオンがアプリ地方の古兎という町にいると分かってな……そこに今、向かっている途中だ」
「え……こ、古兎?!!」
一期は【古兎】と聞いた途端に顔面蒼白になり、身体を震わせながら言葉に詰まる。
「お師匠様。古兎に行ってはいけません!!……あそこは、あの町は悪魔に魅入られた【死の町】です」
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