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秋も深まり、寒さも増す夕暮れ時。学舎の門を出た途端待ち兼ねていたかのような突然のどしゃぶりの雨に襲われた。
「ハァ……マジついてねぇ……」
ため息をついた所で雨は止む気配もなく。
仕方なく、お気に入りのブルーハーフコートのフードを被り走りだした。
肩までかかる白に近い白銀の髪が濡れ、茶黒の瞳に水滴が落ちる。走るたびにつぎはぎだらけの大きなショルダーバッグが揺れる。歳は十五歳前後のまだ子供だった。
「仕方ない……ここでしばらく休むか」
学舎から脇道にそれた所に薄暗い森がある。
鬱蒼と木々の生い茂る静かな森。虫の鳴き声一つもしない静かすぎるその森は気味が悪く村の人は誰も近づこうとしない。だけど僕は、
「好きだな……この森ホント落ち着く」
また、ため息が自然と漏れる。
“力を持たない、まがい者の僕にはお似合いの場所だ…”
“僕は非造者だった”
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