間章【惨劇の町・古兎】

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 ぶわっ!!  次の瞬間、少年の身体に流れ出た血液がまとわりつき、少年すべてを覆ったかと思うと、  バキッ!ボキッ!  と骨が砕ける音と共に、身体の形が変形していく。手足は膨れ上がり皮膚がめくれて鋭い爪が生えた。体内の血管が浮き出て、筋肉は硬く盛り上がり、長く尖った角が頭に生え、建物よりも巨大な異形の真紅の化け物へと少年は変貌した。 「うふふふふ。憎いなら、欲しいなら、自分で行動なさい。すべてを奪いさる力をあなたにあげたのよ」  少女はその化け物の肩に、ひょいと華麗に宙を舞い飛び乗ると耳元で囁いた。 「お腹すいてたわよね?飴ぐらいじゃ足りないでしょ?肉とか食べないと……大きくなれないわよ?」 《ギシャアァァ――!!!!》  化け物の咆号が町中に響き渡る。人々は突如現われた化け物に恐怖し悲鳴をあげながら逃げ惑う。 「た、たすけて……ころされ……うぐっ!」  泣き叫ぶ男を片手で持ちあげると、林檎を握り潰すかのようにぎゅぅっと握力をかけた。次の瞬間、男は断末魔の悲鳴をあげながら、弾け飛んだ。血肉が辺りに飛び散り、体内で蠢いていた臓器がぼたぼたと地面に落下する。
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