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炎のように深紅の髪が腰まで流れ、左眼は黒革の眼帯で覆われてその奥の瞳は見えないが、右眼は透き通る水のようなブルーアイズ。全身毛皮のジャケットを身に纏い、歳は二十代半ばぐらいの美しい顔をした男だったから。
「ルビィ、こいつ邪魔だ。頼む……」
「はい分かりました。緋色様」
その男の斜め後ろに少し離れて、これもまたこの世のものとは思えぬ妙齢の金髪長身の美女がいた。
「なんだ……あんた達?」
その二人組は森の奥深く闇に覆われている方角に眼を向けた。途端に二人は険悪な顔になり、緋色と言う名の男はブツブツと呪文を唱えながら地面に両手をかざした。
除々に地面から白く輝く楔のようなモノが浮かび上がり、それはあっという間に僕とその二人―三人を囲む檻へと姿を変える。
何だコレ?一体……何が起こっているんだ?
状況が掴めず呆然とする僕の耳に地の底からはい上がる獣とは違う異形のモノの咆号が響いた。
《ギシャッ、ギシャアァァ――!!》
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