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暗い闇の中、一人の女性がうずくまっている。
「イヤよ…‥イヤァ―――!」
悲鳴が闇に響いた。
「お母さん」
三才位の子供が女性に近寄って行く。女性は嫌悪感のにじむ顔で子供を見下ろす。
「あっちへ行って!」
子供は泣きながら男性の元へ行く。
「お父さん」
男性は子供を睨みつけ、
「お前など、私の子じゃない」
そう吐き捨て、去って行く。
子供はその場で座りこみ泣いている。
しばらくすると、一才位の男の子が、泣いてる子供の元に来た。
「のぞむ?」
子供は涙を拭い、男の子に笑いかけた。子供が男の子を撫でようとした瞬間、
「触らないで!」
女性が男の子を抱き上げ、男性が子供を突き飛ばした。
「のぞむ~」
女性と男性は笑いながら男の子をあやしている。子供はその様子を、少し離れた所から見ていた。
中学生になった子供に、スーツ姿の男が話しかける。
「君も知ってる通り、君の本当の父親は彼です。彼は君を手元で育てたいと言っています」
うつ向き思い詰めた表情の子供は、唇を噛み締め頷きました。
「分かりました…‥」
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