3361人が本棚に入れています
本棚に追加
黒と白を基調とした簡素な部屋の窓から朝日が差し込み、窓際のベッドを照らす…
「懐かしい…夢を見た…」
そのベッドに横たわる黒髪の少年は目を閉じたまま呟く。
「昔の夢を見たのも久しぶりだな…確かあれは俺が六歳の頃だったか…?」
少年は眠たそうに目を細めながら上体を起こし、窓から外を眺める。
細められた目の隙間から見える瞳は紅、幻想的な雰囲気を醸し出すソレは少年の黒髪と相まって更に美麗だ。
(…そういえばライアン老が呼んでいたな…そろそろ行くか…)
少年はベッドから降り、黒一色の服を着て、純白のローブを纏い、フードを深く被った。
「さて…行くとしましょう…」
少年は口調をガラリと変え、声も先程より少し高くした。
「我を望む場所へ運べ…『転移』」
少年の足元に魔法陣と呼ばれる、魔術、法術の構築式が現れ、光を放つ。
光が消えた時には部屋に少年の姿は無かった。
.
最初のコメントを投稿しよう!