第6章『魔王と英雄と過去』

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「……調停者…貴様よもや…」 「5年だ《Accra》…貴様がシンの肉体を乗っ取るまでかかった時間…それだけあれば十分だ…」 ハイネは口調を変え、そう《Accra》の耳元で言い放つと同時、瞬時に《Accra》に朱刀を突き刺す。 「…あまり俺を見くびるな…白魔法…『浄化セシ神ノ御剣(ミツルギ)』…」 朱刀から白光が吹き出し、《Accra》を内側から攻撃する。 「ぐ…グオォォォ!!」 《Accra》は雄叫びにもにた叫びをあげるとシンの体から弾き出される。 「…主…!!」 「…シン!!」 アイラとセリナは《Accra》が弾き出されると同時、シンの体を支え、必死に呼びかける。 「…ぅ……」 シンはうっすらと眼を開き、視界にアイラとセリナを捉えた。 「…やぁ…久しぶり…だね…?」 弱々しい声でそう言ったシンはアイラとセリナが抱きついたことによって目を白黒させる。 「…るさん…許さんぞ調停者ァァ!!」 「アナタはここで消え去る運命(さだめ)だ…」 「ハイネ、ここは私がやるわ」 「いえ、リューディアはシンの治療を。瞬殺してきますから」 ハイネはそう言って微笑むと六枚の翼をはためかせ、未だ叫び続けている《Accra》との距離を一瞬で詰める。
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