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「そういえば、なんで記憶が戻っているの?封印されたら記憶は無くなるんじゃなかったの?」
ハイネが《Accra》と自らの空間で戦っている頃、唐突にセリナが口を開く。
「…それは…後でいいかな…?…体に力が入らない…うえに魔力も…ちゃんと循環…してない…みたいなんだ…」
シンは力無く笑いながら、自身を治療しているリューディアを見る。
「…黒と…白…原始の力…を内包せし…創造…者。…貴女は、創造の…女神…ーー」
「違う。私は神じゃないわ…"元"創造神よ…」
リューディアは何かを言おうとしたシンの言葉を遮り、少し悲しげな瞳でそう答える。
「……どうやら…僕の知る…時代とは大きく変わったようだね…」
段々と魔力が循環し始めたのか、シンは上半身を起こしながら遺跡を見回す。
「それも当然でしょう。貴方が生きていた時代からはもう数百年経っていますから」
突如、シンたちの目の前の空間が歪み、ハイネが姿を現す。
「…ッ…!?…君は…」
「お久しぶりですね。私はハイネ=アーデンベルク。この時代の調停者です」
「調停…者…そうか…君が…あの時の…」
シンは何かを思い出したかのようにハイネの顔を見て呟く。
「…シン=アストラム=レン=エーデルハイト…。貴方は調停者としての力、責務からは解放され、恐らくは『聖者』として生きていかなければなりません。
貴方が望むとおりにしましょう」
ハイネが尋ねたのは生きるか、死ぬか。ただそれだけの質問。
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