第6章『魔王と英雄と過去』

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「そういえば、なんで記憶が戻っているの?封印されたら記憶は無くなるんじゃなかったの?」 ハイネが《Accra》と自らの空間で戦っている頃、唐突にセリナが口を開く。 「…それは…後でいいかな…?…体に力が入らない…うえに魔力も…ちゃんと循環…してない…みたいなんだ…」 シンは力無く笑いながら、自身を治療しているリューディアを見る。 「…黒と…白…原始の力…を内包せし…創造…者。…貴女は、創造の…女神…ーー」 「違う。私は神じゃないわ…"元"創造神よ…」 リューディアは何かを言おうとしたシンの言葉を遮り、少し悲しげな瞳でそう答える。 「……どうやら…僕の知る…時代とは大きく変わったようだね…」 段々と魔力が循環し始めたのか、シンは上半身を起こしながら遺跡を見回す。 「それも当然でしょう。貴方が生きていた時代からはもう数百年経っていますから」 突如、シンたちの目の前の空間が歪み、ハイネが姿を現す。 「…ッ…!?…君は…」 「お久しぶりですね。私はハイネ=アーデンベルク。この時代の調停者です」 「調停…者…そうか…君が…あの時の…」 シンは何かを思い出したかのようにハイネの顔を見て呟く。 「…シン=アストラム=レン=エーデルハイト…。貴方は調停者としての力、責務からは解放され、恐らくは『聖者』として生きていかなければなりません。 貴方が望むとおりにしましょう」 ハイネが尋ねたのは生きるか、死ぬか。ただそれだけの質問。
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