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「…ボクは…生きるよ。この子たちの為にもね…」
シンは一瞬考え、アイラとセリナの頭を優しく撫でながら言った。
「…そうですか。なら、旅をしてみてはいかがでしょう?貴方達がかつていた世界とは多少なりとも変わっていますから」
ハイネはシンの言葉に柔らかく微笑むと、そう提案する。
「…うん。いい案だ。アイラ、セリナも構わないかい?」
「…私は…主に…付いて…いくだけ…」
「勿論私はオーケーよ」
アイラとセリナも二つ返事で了承し、それを見たハイネはシンの前に一つの指輪を置く。
「それには人間や魔獣などといった生命体以外のものを収納できる効果があります。既に服が数着、残念ながら女性用はスカート位しか有りませんが、入っていますので、差し上げますから御自由に使って下さい」
ハイネは最後に、あまり目立たない程度に魔力は抑えて下さいね。と言い、六枚の翼を消し、髪も黒に戻してリューティアを連れて転移で去っていった。
「…今代の調停者は少年…か…。神は何故辛い運命ばかりを押しつけるんだろうか…」
ハイネが消えた後の遺跡内部、シンは遺跡の天井を見上げながら呟き、ゆっくりと着替えをし、重々しい足取りで遺跡を出た。
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