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「あぁ~~~!タリィ~」
「…今回ばかりは同意だよ」
炎天下、学園のグラウンドにて、右手で太陽光を遮ろうとする影が二つ。ラルフとアルだ。
「な~んで俺ら二人だけ罰則なんだよ~」
何故ラルフがこんなことを言っているかというと……少し時を遡ってみよう。
ーー約三十分前、学園の食堂にてーー
「ハイネ=アーデンベルク、俺と勝負しろ」
事の起こりは昼休み中。
ラルフらと食堂にて食事をしていたハイネの前にルーカスが現れ、そんなことを言い出した。
「勝負…ですか?」
「ああ。授業では一度もできそうにない。だから今日俺と勝負しろ」
「…構いませんよ。放課後で宜しいですか?」
「あぁ。第三闘技場に来い」
ルーカスはそれだけ伝えるときびすを返して去り、ラルフがハイネに詰め寄る。
「ハイネ!何でアイツの決闘に応じたんだ!?アイツは王族だし、クラスでも飛び抜けた実力者だぞ!?」
「だからこそです。彼は何か迷っているような目をしていました…。それを確かめに行くだけですよ」
ハイネはゆっくりとした口調と動作でラルフをどけ、食器の乗ったトレーをもって立ち上がる。
「では、次は闘技授業ですから遅れないように気をつけて下さい」
では、とハイネは言い括ると、スタスタと先に歩いていき、ミーシャはハイネの行動に首を傾げる。
「珍しいな。いつもは無言でみんなを待つのに…」
そう言っていると、ミーシャは何かに気づいたように立ち上がり、それを見たニルもいそいそとトレーを持って歩いていった。
「…?あいつらもじゃねぇか…なぁ?ってあれ?」
ラルフは未だ残る昼食を見ながらフィンとアルに問いかけるが、フィンとアルも既に食べ終わっており、トレーを持って歩いていってしまっていた。
「お、おい待て…ーげふっ!!?」
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