第7章『実力と疑惑』

3/26
前へ
/202ページ
次へ
ラルフは残ってい昼食を急いで口に詰め込むと、急いでトレーを持って立ち上がり、フィンとアルを追おうとするが、後ろから吹き飛んできた生徒に巻き込まれてテーブルごと倒れる。 「っつ~~!?」 「あ、ゴメン大丈夫!?」 ラルフは何が起こったか理解できず、腰を擦りながら立ち上がったとき、吹き飛んできた長い蒼髪に翡翠の瞳をもつ女生徒が慌ててラルフに言葉をかける。 「あぁ大丈夫…ってお前…俺達と同じクラスの…」 「リアナ=エリザベト。…っと、ゴメンね!」 ラルフにぶつかった女生徒、リアナはラルフにウインクすると厳しい顔でその手に魔力を集める。 「おい何が…ぅおっ!?」 ラルフは訳がわからない、といった表情でリアナに問おうとするが、目の前の光景に驚き、魔武器【紅蓮甲楓】を召喚する。 「誰かの使い魔か!?」 「うん。ゴメンね巻き込んで。私の喧嘩なのに」 ラルフは目の前の魔族、深紅の鎧を纏った人型の何かを睨みつけながら言い、リアナは苦笑いしながら謝り、深紅の鎧が先ほど放ってきた炎の弾丸に向かって氷の刃を飛ばし、次々と相殺するが、段々と追いつかなくなり、炎の弾丸がリアナを穿とうと迫るが、ラルフが拳を振るった瞬間、炎が掻き消え、数が倍になった炎の弾丸が深紅の鎧に向かって飛んでいく。 「…案外使いやすいな」 「はぁ…君はバカかラルフ…」 「アル!?」 ラルフは拳を閉じたり開いたりしながら呟くが、不意に聞こえた声に後ろを振り向く。 そこには白の短い髪をもつ少年アルが立っており、額に手を当てて溜め息を吐いていた。
/202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3362人が本棚に入れています
本棚に追加