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「…あの使い魔は誰が使役してるんだい?」
アルは真剣な顔でリアナに問い、創造の魔術で透明な短剣を造り出す。
「…五代貴族に並ぶ上流階級貴族の一つ、カリユス家の嫡子セインス=カリユス。何かと絡んでくるうっとおしい貴族だよ」
リアナは苦い表情で言い、深紅の鎧の隣にゆっくりと歩いてきた男子生徒を睨む。
「おや、そこにいるのはセフリア君とケイバルン君じゃないか」
そして茶髪に、ジャラジャラとしたアクセサリーを付けた男子生徒が口を開き、ラルフとアルは無言でリアナの前に立つ。
「…ちょっと!?」
「まぁ黙ってろ」
「僕たち貴族にもいろいろあるんだよ」
ラルフとアルは互いに視線で合図を交わすと、男子生徒、セインスに視線を戻し、体内の魔力を高める。
「…幾ら君たちでも容赦はしないよ!いくよブラッド!」
セインスは使い魔、ブラッドに命令し、自身も紅い剣を構える。
そして一触即発の空気の中、互いに一歩を踏み出そうとするが、
「は~いそこまでだ~」
気の抜けたような声と共にブラッド、と呼ばれた使い魔が氷付けになり、更にラルフとアル、セインスの手足が氷で封じられる。
「なー…!?」
「「アラン先生!?」」
ラルフとアルは同時に驚いた声を出し、セインスは仮にも炎属性の上級の使い魔が一瞬で氷付けにされたことに、驚愕に目を見開き、口を半開きにした何とも間抜けな顔をしていた。
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