第7章『実力と疑惑』

7/26
前へ
/202ページ
次へ
一方、教室ではーー 「セフリアとケイバルンが来ていないようだな。確か罰則…だったか」 教壇に魔術・法術陣学(魔法陣学)教師レイソル=ファンカーゴが立っており、腕時計を確認してからその金の眼で教室を見渡す。 ー既に授業開始を告げる鐘は鳴っており、レイソルはどこか苛々した様子で言葉を零し、不意に手を上げたハイネを見る。 「どうしたアーデンベルク?」 「二人は先程グランドで疲労で倒れていましたので、もう少しで来るかと」 「…そうか」 レイソルはハイネの言葉に興味なさげに返事を返し、チョークを持つ。 「すいません遅れましたァ!!」 「…遅れました…」 ラルフとアルが来たのは授業開始から約10分後のことで、ラルフは元気よく、アルは肩を落としながら教室に入ってきた。 「…遅い。罰則とはいえ、遅刻は許さんぞ」 レイソルは教室に入ってきたラルフとアルを一睨みすると再び黒板に向き直り、書きかけだった魔術陣を書き出す。 「…今から黒板に書いたこの魔術陣と同じものを自らの魔力で描き、先程配った紙に投影しろ。 できた者から順に持ってこい」 レイソルはそれだけ言うと教壇の側に長机を置き、近くの椅子をその前に置いて腰掛けた。 「あれは確か初級魔術陣『光(コウ)』でしたね…」 多くの生徒がやり方を探すために教科書を捲る音が響く中、いち早く紙を手に取っていたハイネは僅か零コンマ数秒で魔力を指先に集め、空中に黒板に描かれた魔術陣と同じものをサラサラと描いた。
/202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3362人が本棚に入れています
本棚に追加