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「難航しているようですね」
ハイネはそんな五人に近づき、話しかける。
「ハイネー助けてくれー」
ハイネの姿を見つけるなりフィンは半泣きの顔でハイネにすがりつく。
「…仕方ありませんね、と言いたいところですがフィン、貴方は指先に魔力を込めすぎている上に流す量もバラバラです。面倒臭がらずに集中してやらなければいけませんよ」
「う…なんかハイネ、先生みてぇだな…」
ハイネはすがりつくフィンをやんわりと離すと、未だ悪戦苦闘している四人の内、アルに歩み寄る。
「さて…アル、もう少し速く描いた方が良いですよ」
「…ん…こうかい?」
ハイネの指摘に、アルは少しだけ指を動かすスピードを上げる。
「はい。書き上げた後10秒程保つようになれば後一歩です」
ハイネはアルが再び集中しだしたのを見、微笑むと次はラルフに歩み寄る。
「ハイネ~!どうやったら魔力を一定に流せるんだ…!?」
ラルフはハイネを見つけるなり尋ねる。その瞬間空中の魔力の線は消え、ラルフは肩を落とす。
「この魔術はスピードが大事ですから、イメージとしては魔力を塗料、指を筆として、一筆で素早く描くんです。一定に流す、というよりは、必要な分だけ指先に魔力を溜めておき、消費するというやり方の方がラルフには合っているかもしれませんね」
「魔力を溜めておく…か。サンキュ!やってみるわ!!」
ラルフはハイネに礼を言うと再び作業に戻った。
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