第7章『実力と疑惑』

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「さて。ニルさんとミーシャさんは『投影』を残すのみ、ですか」 最後にハイネはニルとミーシャの前に立ち、作業を見る。 二人は目を閉じて集中している為、ハイネに気づいていない。 「ふぅぅ…『投影』開始…」 「『投影』、開始…」 ミーシャは深呼吸をしてからゆっくりと空中の魔術陣に紙を当て、魔術陣を焼き付ける。 ニルは床と平行に描いた魔術陣の下に紙を置き、焼き付けていく。 「「あっ…!?」」 しかし、魔術陣が紙に半分程刻まれたとき、ミーシャの紙はグシャッと潰れ、ニルの紙は濡れてボロボロになってしまった。 「お二方、少しよろしいですか?」 二人が何度目かの失敗で肩を落とす中、ハイネがゆっくりとした口調で話し掛ける。 「今失敗した理由、理解していますか?」 「いや…それが分からないんだ」 とミーシャ。 「…私も…」 と、ニルが呟き、ハイネは二人の前に黒い光を放つ魔術陣を二つ描いた。 「この二つの魔術陣の違いが分かりますか?」 「え、と…左の方が黒い光が強い…?」 「そうです。ではニルさん、この黒が強い方の魔術陣を紙に投影しようとするとどうなると思いますか?」 ミーシャが顎に手を当てながら呟いた言葉にハイネは頷き、ニルに質問を投げかける。 「え…わ、分からない…」 ニルは突然の質問に困惑しながら消え入るような声で答える。 「ヒントは、闇属性の特性は《吸収と破壊》です」
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