3362人が本棚に入れています
本棚に追加
「《吸収と破壊》…なら…紙が破れる…?」
「正解です。このような、属性の色が強く出過ぎている魔術陣は、特殊とはいえ、ただの紙には影響がありすぎて属性の特性をもろに受けてしまいます。お二方は授業で魔力の種類について習いましたね?」
長い解説を一旦止めたハイネが静かに聞いていた二人に質問を投げかけると、二人は首を縦に振って肯定を示し、それを確認したハイネは再び話し出す。
「なら知っていると思いますが、魔力には各属性魔力と無属性魔力があります。各属性魔力は属性魔術、法術などを表し、無属性魔力は『転移』や『飛翔』など、魔力さえあれば発動可能な魔法です。
この『投影』魔術は、一般的に後者の無属性魔力を使う物なのですが、慣れていない魔力を使うにはなかなか時間がかかってしまいます。レイソル教諭が『投影』の実技に数時間の時間を設けているのも魔力に慣れさせる為なのです。ですから……ーーー」
と、ハイネの説明の途中に授業終了を知らせるベルが鳴り響き、ハイネは説明はまた次の授業で、と言って説明を中断した。
ーーーーーー
そして放課後、何事もなく時間は過ぎ、全ての授業を消化したハイネは、闘技場へと向かっていた。
「なぁハイネ…本当に行くのか?」
そんな言葉を発したのはハイネの後ろを歩いていたラルフ。もう何度目かもわからない問いにハイネはため息を一つつき、立ち止まって振り返る。
「何度も言いましたが、行きますよ。気になることがありますから」
それだけ言うと、再び前を向いて無言で歩き出すハイネ。
ラルフと、その後ろを教室を出てからずっと無言のミーシャ、ニル、アル、フィンがついていった。
最初のコメントを投稿しよう!