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ギルド本部最上階
最上階に転移した二人は無言で目の前の長い廊下を歩き、豪華な扉の前で立ち止まる。
「ギルドXランク《黒白の調停者》です」
「同じくギルドXランク《氷海の王者》だ」
《黒白》と《氷海》は同じように言い、中から、入るがよい、という言葉がきてから扉を開いた。
中にはキチンと整頓された机に、一人の老人が座っている。
「んだよ相変わらずしけた部屋だな…」
「今日は何の御用でしょうかライアン老」
《黒白》は《氷海》の文句を無視し、老人、ライアンに丁寧に尋ねる。
「今日はの、お前たち二人に任務をやってもらおうと思ってな」
ライアンはカラカラと人の良い笑みを見せながら言った。
「ギルドマスターであるアンタがわざわざ俺たちを呼んだってことは、よほど重要な任務か?」
《氷海》は老人を見据えながら言う。
「そうじゃ。
先ずは…《黒白》、《氷海》、お前たちフードを取って自己紹介じゃ」
ライアンは微笑みを崩さずに言い放った。
「はぁ!?Xランクの正体は仲間内ですら機密じゃねぇのかよ!?それに任務に何の関係が…」
「まぁそう怒鳴るでない…人の話はちゃんと聞くものじゃ。
自己紹介は後にして、今回の任務は護衛。それも《ズー》が誇る世界最大の魔法国家の王族、『ルーカス=ベセラ=ツヴァイ』『レーナ=ベセラ=ツヴァイ』の護衛任務じゃ」
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