3362人が本棚に入れています
本棚に追加
「炎よ…水よ…我が敵を…滅し…浄化しーー」
《ディル・スティグマ》を弾くと同時にルーカスは詠唱を"二つ"重ねて紡ぐ。
(二段詠唱…やはり実力はある、か…)
ハイネは二つの詠唱を同時に紡ぐルーカスを見て僅かに驚きを見せるが、直ぐに何時ものように微笑み、白桜を《ディル・スティグマ》に向ける。
「ですが、今のツヴァイさんでは勝てない…」
「『フレイムバースト』!『アクアバースト』!」
ハイネが白桜を《ディル・スティグマ》に向けた瞬間ルーカスの魔術、法術が完成し、炎を纏う爆発が《ディル・スティグマ》の足下で起こり、空中に飛ばされた瞬間、頭上で弾丸のように水を撒き散らす爆発が起こる。
「効かんな」
だが《ディル・スティグマ》は一蹴し、自身の後ろに盾のようなものを生成、それを蹴って凄まじい速さでルーカスに襲いかかる。
その体躯には先ほどの魔術、法術による傷は一切なく、言葉通り効いてはいないようだ。
「『フレイムランス』!」
《ディル・スティグマ》の速さに驚きながらもルーカスは詠唱を破棄して炎の槍を放つが、《ディル・スティグマ》は剣に成っていない方の手で弾き、驚いているルーカスに刺突を放つが、横から飛来してきた光の剣に妨害される。
《ディル・スティグマ》は先ほどと同じ紅い盾を生成して蹴り、突進の勢いを殺す。
「…誰だ」
当然は剣が飛来してきた方向を睨むが、光の剣を放ったであろうハイネの姿はない。
不思議に思いながらも《ディル・スティグマ》はルーカスに視線を戻そうとし…ーー
「なっ…!?」
ーー驚愕する。
最初のコメントを投稿しよう!