第7章『実力と疑惑』

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「炎よ…水よ…我が敵を…滅し…浄化しーー」 《ディル・スティグマ》を弾くと同時にルーカスは詠唱を"二つ"重ねて紡ぐ。 (二段詠唱…やはり実力はある、か…) ハイネは二つの詠唱を同時に紡ぐルーカスを見て僅かに驚きを見せるが、直ぐに何時ものように微笑み、白桜を《ディル・スティグマ》に向ける。 「ですが、今のツヴァイさんでは勝てない…」 「『フレイムバースト』!『アクアバースト』!」 ハイネが白桜を《ディル・スティグマ》に向けた瞬間ルーカスの魔術、法術が完成し、炎を纏う爆発が《ディル・スティグマ》の足下で起こり、空中に飛ばされた瞬間、頭上で弾丸のように水を撒き散らす爆発が起こる。 「効かんな」 だが《ディル・スティグマ》は一蹴し、自身の後ろに盾のようなものを生成、それを蹴って凄まじい速さでルーカスに襲いかかる。 その体躯には先ほどの魔術、法術による傷は一切なく、言葉通り効いてはいないようだ。 「『フレイムランス』!」 《ディル・スティグマ》の速さに驚きながらもルーカスは詠唱を破棄して炎の槍を放つが、《ディル・スティグマ》は剣に成っていない方の手で弾き、驚いているルーカスに刺突を放つが、横から飛来してきた光の剣に妨害される。 《ディル・スティグマ》は先ほどと同じ紅い盾を生成して蹴り、突進の勢いを殺す。 「…誰だ」 当然(ディル・スティグマ)は剣が飛来してきた方向を睨むが、光の剣を放ったであろうハイネの姿はない。 不思議に思いながらも《ディル・スティグマ》はルーカスに視線を戻そうとし…ーー 「なっ…!?」 ーー驚愕する。
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