第7章『実力と疑惑』

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ビュン!!と風を切る音と共に先手を取ったのは《ディル・スティグマ》だった。 一撃必殺。 当たれば間違いなく命を削り取られるであろうその一撃一撃にルーカスという少年の存在ーイノチーを抉り取ろうという殺意ーオモイーが込められており、たった3合…三回打ち合っただけでルーカスの顔には大量の大粒の汗が浮かび、圧されているのがわかる。 「どウシた…?殺シ合いハ初めテか…?」 《ディル・スティグマ》は鍔迫り合いになった状態のままルーカスに顔を近づけ、嘲るように呟く。 「うる…さい!!」 「おっト…」 ルーカスは意地だけで《ディル・スティグマ》を弾き、バルクに炎を纏わせ横凪ぎに斬りかかるが、《ディル・スティグマ》の腕に触れた瞬間、炎は掻き消え、驚愕する間もなく振るわれた腕を辛うじて防いだルーカスだったが、後方に大きく弾かれてしまう。 「忘れタか…?我のチカラを…」 紅はワラう 「ならバ思イ出せ」 既に右手は剣ではなく、さながらハルバードのような形状に変化していた。 「我が力は総て例外なく拒絶する鮮血の紅」 振るう。 未だに明確な殺意に圧されている目の前の餓鬼に向け 振るう。振るう。振るう。振るう。振るう。振るう。振るう。振るう。振るう。振るう。振るう。振るう。振るう…ーー .
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