第7章『実力と疑惑』

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ーー結果、相殺。 まったく同数の剣は互いにその切っ先をぶつけ合わせ、消滅した。 「お…オオォォォ!!」 『グガァァァァ!!』 声にならない雄叫びをあげてルーカスと《ディル・スティグマ》は打ち合う。 刺突、振り下ろし、横凪ぎ… あらゆる斬撃を放ちあい、時には弾き、時には避け、鍔迫り合いには一度としてならず、ただお互いを『拒絶』するかのように一人と一体は打ち合う。 ーールーカスは冷静だった。 ーー《ディル・スティグマ》は焦燥していた。 ただそれだけの差…。 既に手足の感覚は薄れ、目の前は霞む。だが足掻く。 例え手足が吹き飛ぼうとも、絶対に負けはしないししたくない。 打ち合う。 「捉えた…ッ!!」 ルーカスの斬撃が初めて《ディル・スティグマ》を捉える。 『ま…まダ…まダ…ま…』 肩から腰まで一直線に斬り裂いた斬撃は辛うじて《ディル・スティグマ》を維持していた力を全て奪い取り、《ディル・スティグマ》は悔恨の思いを抱いたまま消え去った。 .
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