第1章『ある少女との邂逅』

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「王子と王女ですか……?」 「そうじゃ。王子と王女は今年で十六。今年から魔術、法術を本格的に習う年なのでな、《エルハ》の魔法学園に入学させたいから万が一の為に護衛を付けて欲しいとのことじゃ」 ライアンは微笑みを苦笑に変えながら言った。 「…自己紹介をしろ…つまり、私達も学園に入学して陰から王子と王女を護衛しろ、ということですか?」 《黒白》は少し思案した後、ライアンにそう言った。 「そうじゃ。頼めるかの? 幸い《黒白》は十六歳。学園に通う年齢じゃからな」 「「な!?」」 《黒白》と《氷海》の驚きの声が重なり、ライアンは再び微笑んでいる。 「さぁ、フードを外すのじゃ。きっと驚く筈じゃ」 ライアンはプレゼントを楽しみにしている子供のような眼をしている。 「チッ…しゃあねぇな…」 《氷海》はそう言ってフードを取る。 フードの下から現れた顔は、銀の髪をツンツンに逆立て、蒼の瞳を持つ若い男だ。瞳は鋭く、厳しそうな顔になっている。 「…!…では私も…」 《黒白》は少し驚いたようだが、ゆっくりとフードを外した。 「お前…まさか…ハイネ!?」 「久しぶり、というのもおかしいですね… アランさん」 どうやらお互いに知り合いのようで、《氷海》アランは驚き、《黒白》ハイネは微笑んでいる。 「どうじゃ?驚いたろう?」
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