第8章『二度目の任務と小さな守護者』

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「おいハイネ…!?ってこの高さから無傷かよ…アイツ人間か!?」 フィンは何食わぬ顔でラルフ達に歩み寄るハイネを見て驚愕の表情をするが、ふとニヤリと笑う。 「魔術使えば余裕じゃね?」 そう呟いて窓枠に足をかけ、『磁』と唱えると同時に飛び降りる。 「『斥』ッ!!」 そして地面に着地する瞬間にそう叫び、待機させていた魔術を発動、軽やかに着地した。 「どうだっ!…って見ちゃいねぇか」 降り立った際に顔を上げ言葉を放ってみるも、他の生徒は雑談をしていてフィンに気づいている様子はない。 「何はともあれ、間に合ってよかった…」 フィンはそう呟き、ハイネ達の方へ走っていった。 ーーーー 「さて、授業始めるぞー」 間延びした声の主は武器魔法戦闘技術学通称(魔闘技)の授業を受け持つ紫の長髪に少し垂れ眼な紫紺の瞳をもつ男性教諭 ケイル=アミナス。 気の抜けた様子からは窺えないが、彼は現在ギルドランクSの強者であり、数週間後にはSSランクの試験を控えている。 「今日は自由練習にするからー、各自適当にペアを作って自由に練習しとけー」 そう言うとケイルは自身の使い魔ーーグラヴィティドラゴン《名はアース》ーーを召喚し、その背に乗って飛び去っていった。 「ハイネ!」 ケイルが飛び去ると同時、傍らに使い魔エルフィンボルトを連れたミーシャがハイネを呼ぶ。 「なんでしょう?」 頭の上でスヤスヤと眠るリューディア(フェアリーテイルver.)を起こさぬようにハイネは自然に少し声を落とす。 「剣を教えてくれないか?」
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