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「…岩人族とは、その名の通り体の大半が肌と同化した特殊な鉱石で覆われ、異能と呼ばれる技を扱う種族です。体重は大半が500キロを超え、身長二メートル程、例外なく体格が良い、というのが教科書に載っている事項です」
「へー」
何とも気の抜けた声で返事をしたラルフに一同は例外なく溜め息。
ラルフは最早半泣きだった。
「まさかとは思いますが…ラルフ、岩人族以外の有名な種族を言えますよね?」
ハイネはふとラルフにそんなことを尋ねる。
するとラルフは何を言っているんだ、と言いたげに胸を張って当然、と言う。
「人族、小人族、巨人族、亜人族、龍人族、魚人族、翼人族だろ?」
「ラルフ…それらは全て人族にカテゴリされます。人族の中の種族ではなく、種類です」
ハイネの言葉にラルフはまさか、と後退りしてしまう。
慌てて周りを見回すと、再びの冷たい視線。泣きたくなったラルフであった。
「人族、妖精族、龍族、魔族、これら四つが最も有名な種族だ」
昨日の授業の内容だがな、とルーカスが呟くように言い、部屋の壁にもたれて剣ーー紅痕の力が加わったバルク改め【バルムンク】ーーを召喚し、手入れを始めた。魔武器であるとしても、消した時に完全に汚れが取れる訳ではないため、やはり手入れは大事なのだ。
「さて、今回は無事に終わるといいのですが…」
そんなハイネの呟きは誰の耳にも届くことなく、空気に溶けていった。
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