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「…なんだこれは…」
ベルグソン峡谷の深奥…高い崖が聳え、行き止まりとなっている地点にロイは立ってーー正確には深奥より少し手前で、深奥のいる光景に目を奪われてーーいた。
「…まるで見せしめだな」
ロイの目の前には無数の土の針に貫かれたガルンの姿があった。
当然ガルンは絶命しており、磔にされるように四肢を針に貫かれたガルンの鮮血が地に大きな染みを作っていた。
「あ~らら!!見られちったァ!!」
「…ッ!?」
磔にされたガルンを思案顔で見つめていたロイだが、背後から聞こえた声に驚愕し、魔武器【ジークフリート】を召喚しつつ振り返る。
「アァ…。
ンな目で見んなよ…殺しちまいそうだからよォ」
ロイの闘気を宿した眼が捉えたのは鼻から上を隠す真っ白な仮面を付けた銀髪の男であった。
短い銀髪を揺らし、顔を覆うように手を翳していた男からは魔力が洩れだしており、圧倒的な威圧感を放っている。
「…何者だ」
ロイは明らかに妖しい雰囲気を放っている男にジークフリートを突きつけながら問う。
「だーかーらー…ンな眼ェ向けんなって…殺したくなるって言ってんだろォ!!」
瞬間ロイは背に凄まじい衝撃を感じ、呆然と自らの"腹部"を見る。
「弱ェ…弱ェ弱ェ弱ェ弱ェ弱ェ弱ェ!!
ーー面白くねェなテメェ」
地から飛び出した針に背後から串刺しにされたロイは、男の失望した声を聞きながら意識を失ったーーーー
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