第8章『二度目の任務と小さな守護者』

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ーーーー 「…遅いな」 集落の宿にて、ミーシャがポツリと零した。 ーー既にロイが偵察に出てから40分。通常なら20分もかからずに偵察を終え、帰還できる。 しかも今回程度の任務でロイが苦戦するはずもないし、目的地まではほぼ一本道。明らかにおかしい。 「…行きましょう。待っていても始まりません」 と、ハイネの提案に7人は頷き、立ち上がったとき、部屋の戸がけたたましい音をたてて開き、息をきらした中年の男ーーこの宿の主人であるーーが入ってくる。 そして次の一言を聞いた瞬間、ハイネ達は宿を直ぐに出て行った。 ーーー峡谷の奥で大きな爆発があり、そこから魔獣が溢れてきたーーー 「…リュー」 『…何?』 「巨大化を」 『了解』 ハイネは走りながらリューを呼び出し、短い問答の後、巨大化したリューの背中に飛び乗った。 「先に行っています!」 珍しく慌てた様子のハイネは一言だけ告げると凄まじい速さで峡谷の奥へと走り去っていった。 「俺たちも行こう!」 ハイネがリューに乗って走っていった方向を少しの間呆然と見ていた七人だったが、ラルフの一言に頷き使い魔を呼び出す。 ルーカスの使い魔は水の龍【アクアドラゴン】変異種<ロストアクア>。 名はアリア。 レーナの使い魔は雷の龍【ボルトドラゴン】変異種<ロストトール>。 名はディスラ。 各自使い魔を呼び出すと、飛べるものは背に乗り、走る者は使い魔に身体強化を施してもらい、急いでハイネを追うのだった…。 ーーーーーー .
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