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「っが…!!」
最初は軽々と避けていた男だったが、背後から突き出す氷剣に肩を貫かれ、続いて突き出してきた氷剣に体中を串刺しにされ鮮血が舞う。
「く…そ…っ…!!油断ーー
大敵だぜェ?」
「…ッ!?」
悔しげな声を発していた男の姿は霧のように消え、『氷華闘剣』の範囲外に現れた。
だが男の姿は一つではなく、ロイと氷月を取り囲むように現れていた。
「このまま戦ってもいィんだが…それじゃ面白くねェしな」
そんな言葉とともに男は懐から紫紺の六角の宝石を取り出し、握りつぶす。
「『魔獣召喚<ミルト・レスターヴァ>』…この数…倒せるかァ!?」
、
地が裂け、紫の光と共に現れたのは紅い魔獣であった。
それは数にして200。
体長2メートル弱の狼型の巨体の毛並みは紅く、一本の線のように細く、鋭い眼の奥には燃える様な紅蓮の瞳が。鋭く、頑強な爪すらも紅く染まったソレは今にも目の前の敵を喰い殺さんと唸りを上げている
其の魔獣の名は、紅狼。ギルドでの危険度ならば一体のみでAランク、群れならばSSランクに届かんとする魔獣だ。
「紅狼…!なぜあれ程希少な魔獣がこんなにも…ッ!?」
ロイが驚愕の声を洩らすと同時、思考する時間すら与えないとでも言うように近くにいたファウストの中約10体程がロイに飛びかかる。
『甘い。その程度で私たちに触れられるものか』
だが氷月の冷たい声と共に飛びかかったファウストは地から突き出た氷剣によって貫かれ、絶命する。
『ロイ、油断するな』
「あぁ。いくぞ!」
ーーー紅狼、残り190体。
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