第8章『二度目の任務と小さな守護者』

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    ※ 『『氷閃壱式()』!』 氷月の放った魔術が目の前に氷の剣山を作り出し、一度に数匹のファウストの命を奪う。 「はぁっ!!」 そして辛うじて氷月の魔術から逃れ、飛び上がっていた数匹をロイのジークフリートが薙ぎ払う。 戦闘開始より約30分。たったそれだけで難易度でいえばSSランクを軽く超える討伐難易度を誇るファウストを倒し続けていられるのは此処が峡谷の最奥、つまり行き止まりであり、見晴らしがいい、という理由があった。 通常ファウストはヒト及び魔獣すら滅多に存在しない活火山の火口付近に生息する魔獣であり、隆起した岩場からの奇襲を得意とする比較的知能の高いが個々の戦闘能力はあまり高くない魔獣である。 更にファウストの習性を知っていたロイと氷月は崖を背にして戦い、120程のファウストを倒していた。 ーー焦るな、焦れば隙を晒すことになる ロイは心中で自分に何度も言い聞かせながら魔術、剣術によってファウストを倒していく。 「…穿て『牙雹(ガヒョウ)』!」 ロイの手から生み出された氷の牙が一頭のファウストを穿った時、ロイの頭上に影が射す。 『ロイ、横に跳べ!』 その声にロイは躊躇うことなく横に跳び、自分がいた場所を見る。 ロイがいた場所はファウストの強靭な爪によって深く抉られ、炎によって周囲数メートルが焼け焦げていた。ふと周りを見ると20のファウストが殺気を放ちながらロイを取り囲み、じりじりと距離を詰めてくる。 「本番はここから、という訳か…」 視界の端で、氷月が放った氷をファウストがその身に纏う炎で難なく消し去ったのを見、氷は不利と判断したロイはジークフリートに風を纏わせ、いち早く跳びかかってきたファウストを両断、そしてジークフリートを杖代わりにして跳躍、ファウストの爪を回避する。 .
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