第8章『二度目の任務と小さな守護者』

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一つは持続時間の短さ。 通常、武器に属性を付与する上で異なる属性を付与すると魔力は反発してしまい、消えてしまう。またそれは例えあらゆる魔術、法術を扱える調停者であるハイネですら不可能である。 それをロイは限りなく可能に近い状態で使用しているが、魔力を変換し、流す、という工程を何度も繰り返すということは、極端に言えば高熱と低温を交互に物体に与えるようなものであり、幾ら魔武器といえど長くは耐えられないのだ。 (後5体-ー!!) 氷でファウストの炎を弱らせ、風で切り刻む。そうして数体のファウストを倒したロイは、傍らの氷月を見る。一瞬だが、氷月の状態を知るには十分だ。 ロイの予想通り氷月の状態は芳しくなかった。恐らくは仮面の男から受けたダメージはかなりあったのだろう。魔力などあまり感じられなかった。 思考を巡らせながらもファウストを一体斬り裂いたロイは戻れ、とだけ短く念話で氷月に伝えるとすぐさま残る3体のファウストに向けて氷と風を放つが、2体のファウストを倒した所で消え失せ、同時にジークフリートへの魔力付与も解けてしまう。 「チッ…!」 魔力付与が解けると同時、ロイは舌打ちをしつつ右手で持っていたジークフリートを左手に持ち替え、右腕をダランと垂らす。その右腕は凍りついており、中は何かに切り刻まれたかのように血だらけになっている。 「不味いな…」 .
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