第8章『二度目の任務と小さな守護者』

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好機とばかりに飛びかかってきたファウストから目線を放さないようにしながらロイは呟く。 「左手一本で防げるか……?」 呟きながらも魔力を左腕にかき集め、ジークフリートを肩に担ぐように構える。 『瞬風氷葬牙』の二つ目の欠点、それは莫大な魔力消費、そしてそれによる躯への反動である。 魔力消費、という点はあまり思慮すべき点ではない。問題は反動だ。 莫大な魔力を一気に、しかも無理矢理操ったことによる反動は大きく、ダメージと共に暫くの間魔力の流れが乱れ、魔術、法術が非常に発動しにくくなってしまう。 その為、ロイは左腕だけにしか魔力を集められなかったのだ。 「俺は未だ、死なん!!」 叫びと共にジークフリートを振るう。 既にロイに肉迫していたファウストが避けられる筈もなく、ジークフリートはファウストを捉える。……だが、普段ならなす術なく両断されるだろうジークフリートでの一閃も、今のロイでは炎と化したファウストの躯には漸く浅くはないが、動けない程ではない傷を付けるのみで終わってしまう。 ファウストが苦悶に身を捩らせた弾みで炎の尾で弾き飛ばされたロイは、岩壁に叩き付けられる。 「っは……ヅ!!」 肺から空気が押し出される。 同時にどこか内臓をやられたのか、ロイは咳と共に吐血する。 「……ガハッ!!…はぁ…はぁ…ぐっ……」 .
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