第8章『二度目の任務と小さな守護者』

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「いくぜェ…ッ!!【崩閻槍(ホウエンソウ)】」 男は視界を塞ぐ霧を無視し、自らの武器の名を呼ぶ。 呼応するように紫の光を放った槍は穂先が三つ叉になっており、柄は2メートルに及ぶ程の長槍へと姿を変える。 「…魔武器すら染まっているようですね…貴方は後ーーー」 「るっせぇんだよガキが!!」 紫紺の魔力を纏う長槍を見たハイネは男に声をかけるが、先ほどまでの飄々とした口調とは正反対の怒声にかき消される。 「ちょっと知識をつけた程度で解ったような口聞いてんじゃねェよ!!テメェら温室育ちのクソガキ共には理解できねェことだろうがな!!」 叫び、魔力を収束する。紫蛇ヴェノンも既に形を取り戻しており、崩閻槍を掴んでいない左腕にに巻き付いている。 「…顕れしは冥界の闇。罪を呑む漆黒」 叫びを聞いたハイネは静かに詠唱を唱い、男を見据える。 「…復讐鬼となっても、貴方には何も残りません!゛ネザリクス=レーニア゛!」 「ッ!?……俺を、その名で呼ぶんじゃねェ!!」 白桜を消し、両腕に闇を纏わせたハイネが詠唱を終えるのと、男…ネザリクスが崩閻槍を突き出すのは同時であった。 「沈め!『闇星邪手(アンセイジャシュ)』ッ!」 「穿てェ!!『崩落戟』ッ!」 .
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