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「ふっ!」
ハイネは短く息を吐くと、目の前の男の顔面に掌底を叩き込んで気絶させ、残りの二人も蹴り飛ばした。
「ふぅ…」
ハイネは短くため息をつくと、無言で立ち去ろうとするが、
「…何故割り込んできた?」
少女の呟きに足を止めた。
「割り込まなければ危なかったですから…あの男達がね」
ハイネは振り返らずに言い、背中越しに少女を見る。
少女は紅い髪に紅い瞳を持つ美少女、だが、細められ鋭い眼が少女が勝ち気だということが伺える。
「それと、こんな街中で上級魔術は危険ですから、止めた方がよろしいかと」
「…ふん…お前、名前は?」
少女はぶっきらぼうにハイネに尋ねる。
「ハイネ=アーデンベルクです。貴女は?」
「レーナ=ベセラ=ツヴァイだ」
「…!…そうですか。では、また…」
ハイネは少し驚いた顔をしたが、直ぐにいつもの表情に戻り、立ち去ろうとする。
「あ、そうそう…
そんなに心に壁を作らなくとも大丈夫ですよ」
そして、そんな言葉をハイネは残して立ち去った。
「…ハイネ…アーデン…ベルク…」
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