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「ッ!!待て!」
ロイの制止の言葉も虚しく、道化師と復讐者は光に包まれ、その姿を消す。
「…っはぁぁ!!助かったぁ~」
「本気で駄目かと思ったよ…」
「一緒に戦えなくてすまないな…」
真っ先に言葉を発したのはラルフで、次いでアル、最後にミーシャである。ラルフとアル、ニルは緊張の糸が切れたように座り込み、ミーシャとフィンは自らの使い魔に謝罪をしていた。
「…ハイネ、お前…」
白桜を消し、静かに佇んでいたハイネに詰め寄るルーカス。
その瞳には憤りが渦巻いていた。
「何故、それだけの力がありながらAランクにいる?それに、俺と闘った時…あれは全力じゃなかったんだな?」
「…貴方と闘った時、確かに全力ではありませんでした。ですが、私がAランクであることに関係することではありません」
ルーカスの瞳を真っ直ぐに見つめながら、ハイネは機がなかっただけ、と曖昧な答えを返す。
「ッ…そんな答えで……!!」
「そこまでだ。誰にでも詮索されたくない事はあるものだ。それが、彼であってもな」
思わず激昂しかけたルーカスをロイが宥める。幸い、ルーカスとハイネのやりとりを聞いていたのはロイとレーナだけのようで、空気はあまり変わらなかったようだ。ラルフ達5人は殺気や威圧感など、慣れないものを浴びせかけられ続けていたため、解放感からか、穏やかに会話をしている。
「兎に角、宿へ戻ろう」
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