第8章『二度目の任務と小さな守護者』

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「リューディア」 『どうしたの?』 部屋…宿の外に出たハイネはリューディアを喚ぶ。 「悪い予感が当たったようだ…敵はハイネ<俺>が標的<黒白>だと気付いていたようだな」 ハイネは何処からか取り出した純白のローブを羽織り、その手に天地創世(ハジマリトオワリ)を召喚する。形は黒の柄に白の刀身を持つ武骨な大剣だ。 「…やっと捉えたわよ…ハイネ」 ハイネが天地創世を喚びだした数十秒後、ハイネの目の前に一人の少女が降り立ち、そう告げる。 少女の両目は何かを隠すように包帯が幾重にも巻かれており、やや短めな白髪も相まって不気味な雰囲気を醸し出している。 「…まさか貴女が来るとはね…アイラ」 「…私をその名で呼ばないでくれる?私の"片割れ"の出来損ないと同じ名と思うだけで虫酸が走るの」 少女、アイラはハイネに名を呼ばれた瞬間からハイネに殺気を放ちながら魔力を高める。 「…ミーシャさん達が気付いてしまいますね」 ハイネはアイラが魔力を高め始めたのを感じ取ると、静かにフードを被り、大剣を構える。 と同時、宿からミーシャ達が飛び出してくる。 「…護れ、弾け  『神守絶壁』」 「…なっ!?」 「其処から動かないで」 ハイネはミーシャ達を結界で包み込むとミーシャ達の真下に『強制転移』の魔術陣を発動させる。 「ハイネ=アーデンベルクはギルドマスターと共にいます」 そんな嘘を残して。 そしてミーシャ達は魔術の光に包まれ、ハイネが強制転移、と呟くと、その姿は消えた。 .
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