第8章『二度目の任務と小さな守護者』

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「…くっ!!」 男の悔しげな声と同時に純白のローブを着、フードを深く被った【黒白の調停者】ハイネが降り立つ。 「大丈夫ですか?」 柔らかな声はロイを安心させるのに十分過ぎ、ロイは意識を手放そうとするが、ハイネがロイに手を翳したのを見てなんとか意識を保つ。 「白魔法ーー『ホワイトヒール』」 一瞬。 たった一秒にも満たない時間でハイネはロイの普通の人間なら死にかける程の傷を治してしまう。 「…調停者」 「……レイフ、貴方は…」 「黙れ」 男はハイネの言葉に殺気を放ちながら返答。 そして言葉を続ける。 「例え貴様が俺の過去を知っていようと、弟が俺を憎んでいようと、俺の目的はただ一つだ」 そう言ってフードを取り払う。 癖のない短い銀髪、金の瞳はハイネを睨んでいる。 「彼は貴方を憎んではいない。彼は貴方を探しています」 「ふん…そんな寝言が通じると思うのか調停者」 男、レイフはハイネの言葉を一蹴するとその手に一本の剣を召喚する。 「俺の目的を妨げる者には等しく死を与えてやる… 来いーー」 レイフの手に鞘に収まった一本の剣が召喚された。 それは金の装飾が散りばめられた豪華絢爛なものではなく、何の変哲もないような普通の鞘だった。 あくまで見た目は、だが。 「ーー『クラウ・ソラス』」 .
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