第8章『二度目の任務と小さな守護者』

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不敗を讃えるエリン四秘宝最強の剣『クラウ・ソラス』ーー 茶に近い黒の鞘からは何の力も感じられないが、あれが内包する力は先程ハイネが使った《ダグザ》の比ではない。 そして最強とも言える剣が鞘から抜き放たれる。 「ーーSacred treasures《神器》… liberate《解放》…!!」 解き放たれた剣は切っ先が潰れ、刃はボロボロなまるで戦闘には役に立ちそうにないカタチだったが、liberate《解放》という言葉と共に極光を放ち、巨大な光の剣と成った。 「此の剣<ツルギ>から逃れること叶わず…我が聖光は我が敵を焼き尽くす…ーー!!」 レイフは光の大剣を自らの横に構え、魔力を注ぐ。 「…ッ!?」 ここで先程までの光景に魅入っていたロイが刀身に新たな紋様が刻まれたジークフリートを構えるが、ハイネがそれを制す。 「大丈夫ですよ ーー来いーー 煉魔釜(ダグザ)」 口を開こうとしたロイに微笑みかけるとハイネはその手に巨大な、漆塗りの龍が刻まれた釜を呼び出す。 「そんなもの…両断してやる!!」 不敗剣(クラウ・ソラス)はレイフの声に呼応するように光を放ち、既に刀身は見えなくなっている。 「使い手と担い手の違いを教えて差し上げますよ」 ハイネも地に轟音と共にダグザを降ろし、魔力を注ぐ。 その速度はレイフの比ではなく、僅か1秒と少しで一般の魔術師なら100人いても一割にも満たない程の魔力許容量を持つダグザの器は魔力で満たされる。 .
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