第8章『二度目の任務と小さな守護者』

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ハイネはジークフリートの刀身に刻まれた紋様を見ると感嘆の声を発し、其の名を喚ぶ。 「…魔神器…『ジークムント』」 「…魔神器…?」 ハイネが呟いた言葉に疑問を感じたロイは思わず声に出してしまう。 「元来、魔から生まれし武器には言葉なき意志が存在します」 背後で敵<レイフ>が『クラウ・ソラス』を構えているというのにハイネは余裕だ。 「…そしてその言葉なき意志と"同調"した時、魔武器が魔神器へと変化するのです」 ハイネは言葉を発したと同時に背後に振り返り、『ダグザ』に触れる。 「…神器(スクレイド)覚醒(ダズ・ウォルゲン)…」 ーー瞬間、ハイネとロイの視界が金に染まるが、直ぐに漆光にかき消される。 「…無駄です。先程の技ならまだしも、ただ魔力を込めただけの刃は私には届きません」 そしてハイネは黒い孔となったダグザに手を翳し、一言。 「…『無へと還る漆光(ゼロ・ウィディルフラング・ティールフィール)』」 《ダグザ》が、黒き孔が、その大きさを変えていく。 直径数十センチに満たなかった孔は数十メートルの大きさに及び、既にレイフからハイネとロイの姿は確認できない。 「…退かないならば容赦は無しです…。貴方程の男ならば退き際は弁えていると思うのですが?」 ーーーレイフが選ぶ選択肢は既に一つであった… ーーーーーーー .
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