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「さて、説明してもらえるか?」
ハイネとロイが学園に帰還してから数時間後、夜の闇に包まれた学園の屋上にハイネとロイはいた。
この時間になってしまった理由は至極単純なもので、ラルフ達が納得するまで言い訳をつらつらと述べていたのだ。
勿論ハイネにも罪悪感というものは在ったが、流石にXランクという国家機密レベルの事柄を話す訳にもいかず、適当な話で納得してもらったのだ。
ーーただ、ハイネは胸中でラルフ達の勘の良さに内心舌を巻いていたが、それがラルフ達に限ったことではないとハイネが理解するのはもう少し先の話だ。
「勿論です。そのためにここまでご足労願ったのですから」
ローブを着ず、学園指定の黒い制服に身を包んだハイネは《黒白》としてではなく、ハイネ=アーデンベルクとして在った。
「さて…先ずは二、三質問をさせていただけますか?」
ハイネはロイが無言で頷いたのを見、言葉を紡ぐ。
「以前、戦場で御会いした時に共に戦っていらした方々の名を教えていただけますか?」
「…なぜ?」
ハイネの言葉に当然、というべきか、ロイは怪訝な顔を浮かべる。
「今から約2週間後にギルド昇級試験があります。その試験のS、SS、Xランク試験管を私がすることになっています。
此方としても、将来有望な方々の名は覚えておきたいのです」
まぁ、別に今でなくともいいのですが、と
ハイネは苦笑を零し、ロイは自らの仲間が評価されていることが嬉しいようで、少し口元が緩んでいる。
「…これは試験の少し前に提案しようと考えていたのですが、私は、ギルドランクにSSS(トリプルエス)を追加しようとおもっています。勿論、ただのギルドランカーである私の独断ではできませんが」
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