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未だ成熟しきっていない精神で懸命に考え、打ち立てた誓い。
(俺の命に代えてもって、決めただろぉ!!)
ただ一人の妹を守る。兄として、男として。
だがどれだけ手を伸ばしてもニルに手が届くことはなく、激痛に叫ぶニルをただ見ることしかできない。
「ァァアア…!…………」
自らの無力を嘆き、悔やむ暇もなく、変化は終わりを告げ、ニルは糸の切れた操り人形のように崩れ落ちる。
「……ニル…?」
ポツリと、ティルが声をかけると、ニルはピクリと反応し、ゆっくりと身体を起こす。
「ん……お兄…ちゃん…?」
そして虚ろ気な瞳をティルに向けたとき、ティルは短い人生の中で、一番の絶望を感じた。
「ふ、ふはははは!!やはり!!やはり素質があった!!我が一族であるという証が!!ははははは!!」
ゲイツの嗤いの声も、ティルの耳には入らなかった。
ただ、ニルの『瞳』に起きた変化に、絶望を感じていたのだ。
「ニル……」
絶望の中、絞り出すように出された声の次の句が出ることはなかった。
「これで貴様は用済みだ『小僧』」
ニルは別人のように豹変してしまったゲイツを呆然と見ながら、唐突に襲いかかってきた眠気に意識を失った。
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