第8章『二度目の任務と小さな守護者』

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※ 『起きろ』 朧気な意識の中、誰かの声で目を覚ます。 「……あなたは、だぁれ?」 未だ覚醒しない意識を振り払うように首を振ってから、目の前の存在に尋ねる。 ニルの目の前にいるのは漆黒のローブを身に纏ったような形の人影だ。 ふと辺りを見回せばそこは意識を失った屋敷の部屋ではなく、真っ暗な闇の中で、目の前の人影すらまともに見ることができない。 『"誰"…か。違うなお嬢さん。 ワタシはキミの"力"だ。人じゃあない』 そう言ってニルの頭を撫でる。その手は、思ったよりも暖かく、柔らかかった。 「ちから…?わたし、ちからないよ?」 未だ6歳であるニルに人影の言葉の意味は判らず、首を傾げている。 『ふふっ、キミがもう少し大きくなれば解るさ。ワタシが何なのか、ワタシが何故自我を持っているか。と、キミにはまだ早いみたいだね』 人影の言葉に頭の上に?を幾つか浮かべたような顔のニルに、人影は優しげな声で話す。 『そうだな…ワタシの事は"死神"とでも呼んでくれ。他に名は無いからね』 「しにがみ…さん?」 『うん。死神さんだ。 --さて、今日はここまで。次に逢う時は、キミに神秘が使えるようになってからだね』 「……え?」 自らを死神、と名乗った人影は、一方的に会話を打ち切ると、ニルの頭を撫でていた手に少し力を込めて 『……ごめんね』 --その言葉をニルが聞き取った瞬間、ニルの意識は再び闇に落ちていった。 ※
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